マチ子の日常

アラサーOLの日常です。

ズートピア最高

ズートピアをリピートピアして字幕と吹き替えの差分を楽しんでいます。子供向けのアニメーション映画のようですが、大人の皆さんに観て欲しいので、どんなところが面白いのか記述します!!ズートピアみよう!!

 

◎主人公像を自己実現と自己評価からみる

 主人公は兎の女の子ジュディです。彼女の夢は「警察官になる」なのですが、小柄でか弱い草食動物のウサギが警察官になった前例はありません。しかし、そんな逆境にもめげず、ジュディは努力で警察学校に入学し、努力で首席卒業し、ズートピアの中央エリア担当の警察官になります。

この「警察官になる」という夢を開始10分ほどで達成するのですが、挫折を繰り返し何度も立ち上がり夢を叶える姿に、ひたすら胸を打たれます。

 

  ここはUSKさんがおっしゃっていた通りなので地方から上京した民はハンカチ必須でお願いします。

 

あと、ウサギ274匹くらいが飛び跳ねてジュディの旅立ちを見送るシーンが一瞬あるのですが、脳みそが溶けるかと思うくらい激かわいいので、シルバニアファミリーみたいな小さくてかわいいものが密集している様子が好きな性癖の人は要チェックでお願いします!!!!

 

上トピアするシーン

www.youtube.com

 

 「兎は警察官になれない」という世間の常識は、彼女にとっては偏見でした。そんな逆境の中「兎の警察官になる」という夢を見事に叶えたのです。

そんな偏見にも負けず夢を叶えた自分のことを「偏見をもたない、誰でもなんにでもなれるを応援する兎」と自己評価しています。

例えば、ジュディは象になりたい狐の子に「象になれるよ!」と、心の底から応援の言葉を贈るシーンがあります。

 

このシーンのジュディの思考のトレース

・自分は兎でも警察官になるという夢を叶えた!

・ここはズートピアだから誰でもなんにでもなれる!

・狐も象になれる!私はその夢を心から応援する!

と、前述した経験ベースのそれになります。

 

このジュディの自分は偏見をもっていないという“真っ直ぐな自己評価”に隠れている“悪意なき偏見”が物語の鍵になってきます。  

 

◎悪意なき偏見

 自分のことを「偏見なく他者の自己実現も応援する兎」と認識していたジュディですが、「肉食動物はDNA的に草食動物を襲う危険性がある、草食動物は平和で暴力性が低い」という“偏見”を持っています。

兎に生まれ、肉食動物に侮蔑された過去があるジュディだからこその思考なのですが、ジュディにとってこの考え方はただの“常識”であり、“偏見”などではありません。しかし、ジュディの“常識”はニックにとっての“偏見”で、彼を傷つける思想そのものでした。

 マジョリティゆえの傲慢で無神経な思考が自身の中にあり、大切な友人を傷つけたことで自身の中の差別的思考に気付く。このあたりがズートピアは差別と向き合う映画と評される理由になっています。

 

草食動物⇔肉食動物

というわかりやすい対比で差別を表現しているのですが、この対比構造は様々なケースにも当てはめて考えることができるのですよね。これが様々な立場の人に楽しまれる理由のひとつだと思います。

 

◎まとめ~ try everything~

 自身の中の差別的思考に気付いたジュディは、そのことと時間をかけて向き合い、噛み砕き、行動することで、自身の思考が変化したことを、ニックをはじめとした周囲の動物達に証明します。

ここの葛藤から証明に至るまでの流れでいくつもの散りばめられた伏線が回収されてとても面白いので、ぜひ映画館で観て下さい!!!

 

前述した悪意なき偏見など、キュートでコミカルな動物たちは、他にも様々なメッセージや疑問を投げつけてきます。

 ・マジョリティゆえの傲慢で無神経な“悪意なき偏見”

・数は多いが社会的地位が低いものたちが集団として反旗を翻す恐怖

・自分を弱者だと認識しているものに潜む傲慢さ

 

自分の実生活のとても近いところにある、でも見て見ぬふりしているそれらを見せつけられ、ドキっとします。

でもこの投げかけたメッセージに関して、きちんと作中でAnswerがあるんですよね。

それがジュディの最後のスピーチになります。

 

下記作中からの引用

 we try to understand one another, the more exceptional each of us will be. Try to make the world a better place. Look inside yourself and recognize that change starts with you. It starts with me. It starts with all of us.

Real life is messy. We all have limitations. We all make mistakes. Which means―hey, glass half full!―we all have a lot in common. And the more we try to understand one another, the more exceptional each of us will be. But we have to try. So no matter what type of animal you are, from the biggest elephant to our first fox, I implore you: Try. Try to make the world a better place. Look inside yourself and recognize that change starts with you. It starts with me. It starts with all of us.

 

※glass half full …水が半分入ったコップを半分しか入ってないと捉えるか、半分も入ってると捉えるか、考え方や物事に対する視点の表現

※our first fox …初めての狐の警察官になったニックのこと

 

「世界はすごく複雑だけど、私たちは世界をより良い場所にしていく努力を忘れてはいけない。そして世界を変えるためにはまずは自分を自身と向き合い、自分から変わっていくことが大切なんだ。」と、スピーチの中でジュディは何度も力強く「Try」と繰り返します。自分の中の偏見と向き合い行動し変化したジュディのスピーチだからこそ、ひとつひとつの言葉が響きます。

 

このスピーチを聞くだけで明日からがんばろうと前向きな気持ちになれますので、世の中に対して諦観している大人のみなさんにこそ是非観てほしい映画です。

以上!ズートピアは最高!!

 

 

◎おまけ~小ネタ~

 ①ガゼルのトランスジェンダー

歌姫のガゼルだが、角がとても長い。本来長い角はオスのガゼルにあるもので、実はガゼルはメスではなくオスの個体なのでは?というもの。

街が草食動物と肉食動物で二分化されたとき、ガゼルは反対のデモを実施する。営業的なそれではなく、自身の性別のことも踏まえ「ここは誰でも何にでもなれるズートピア」とインタビューに答えたと推測できるのでは?

映画の終わりは草食動物のガゼルが歌い、その周りを肉食動物のタイガー4匹がダンサーとして華を添えるという、二分化した街が1つに戻った平和の象徴として登場する。タイガーも上裸ながら女性的なダンスをする。

 

②タヌキの表現

一瞬出てくるニュースキャスターのタヌキが、茶釜を背負い頭には葉を乗せている。アジアのタヌキ像が強く反映されたキャラクター造形?

 

③白くまの姉妹

ジュディが上トピアしたシーンで白くまの姉妹がアナとエルサの恰好をしている。

 

④イケメンのタイガー

街が二分化されたときに、電車で兎の親子の隣にのったタイガーはダンサーのタイガー?

 

⑤ニックの年齢

12歳から詐欺をはじめそれから20年間という、脱税の計算からニックは32歳と推定される。ちなみにジュディは公式発表で24歳。

 

 

小ネタというよりみんなちょっと確認してくれない?みたいなあれなので、違うよ!とかあそこはこうだよ!とか何かあったら教えてください!

 

梅雨でじめじめしており、外で遊べなかったりする時期ですが、ぜひ映画館でズートピア観てみてください。毛が一本一本ふさふさしていていてスクリーンでそのモフモフを体感してください。